家電の「三種の神器」と呼ばれるものがありました。
1950年代には、白黒テレビ、冷蔵庫、洗濯機。
60年代には、カラーテレビ、クーラー、車、と、
いわゆる「3C」というやつですね。
それから50年という時間を経て、
今の生活の中で何が「三種の神器」なんだろう、
と考えてみると、ピンときませんでした。
「みんなが持ってる」「生活をさらに便利にする」という条件に加え、
「新しい技術」という点も考えるなら、
「スマホくらい?」となってしまいます。
家電量販店だったり、デパートだったり、
ホームセンターなどでも便利なものがたくさんありますが、
「現代人の三種の神器!」と言ってしまうような感じではなさそうですね。
今は、それぞれ個人における「三種の神器」があるのではないかと思うのです。
ある人にはパソコンやカメラ、バイクだったり、
またある人にはお鍋やお皿や包丁だったり。
はたまた別の人には植木用ハサミやスコップ、花瓶だったり。
ライフスタイルが多様化する中で、
「これは特に必需品っ」と思えるものが、
一人ひとり違ってきているのが現代なのだと思います。
もちろん、昔と比べて「技術」のベースが高くなっているということが
前提としてありますけど。
自分はどんな日常を過ごしたいのか、
という選択肢が、とても広くなっていると言っていいでしょう。
趣味も遊び場所も食べ物も、
自分の価値観に沿って選べてしまいます。
つまりは、「自分自身とたっぷり向き合えるようになっている」
とも言えるのではないかと思うのです。
「今はコレだよ」という、誰かに示された枠にとらわれる必要がない。
自由だからこそ抱えてしまう悩みや、
上下関係が薄れていったり、
古い風習が失われていったりという問題は確かにあるでしょうが、
危機だからこそあらためて見直されているとも言えます。
技術や情報をみんなが共有していく今の世の中。
そんな中で、お参りにお越しのみなさまに、
心しずかに「自分」に向き合ってもらえるような
場所にしていきたいと思っています。
90年代以後も「新三種の神器」といって、
いろんな三種の神器を流行させようとしたものの、
あまり浸透しなかったんですってね。
みなさんの今日が平穏無事でありますように。
石鎚神宮社務所より
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