2016 01 16

家電の「三種の神器」と呼ばれるものがありました。

1950年代には、白黒テレビ、冷蔵庫、洗濯機。

60年代には、カラーテレビ、クーラー、車、と、

いわゆる「3C」というやつですね。

 

それから50年という時間を経て、

今の生活の中で何が「三種の神器」なんだろう、

と考えてみると、ピンときませんでした。

「みんなが持ってる」「生活をさらに便利にする」という条件に加え、

「新しい技術」という点も考えるなら、

「スマホくらい?」となってしまいます。

 

家電量販店だったり、デパートだったり、

ホームセンターなどでも便利なものがたくさんありますが、

「現代人の三種の神器!」と言ってしまうような感じではなさそうですね。

 

今は、それぞれ個人における「三種の神器」があるのではないかと思うのです。

ある人にはパソコンやカメラ、バイクだったり、

またある人にはお鍋やお皿や包丁だったり。

はたまた別の人には植木用ハサミやスコップ、花瓶だったり。

 

ライフスタイルが多様化する中で、

「これは特に必需品っ」と思えるものが、

一人ひとり違ってきているのが現代なのだと思います。

もちろん、昔と比べて「技術」のベースが高くなっているということが

前提としてありますけど。

 

自分はどんな日常を過ごしたいのか、

という選択肢が、とても広くなっていると言っていいでしょう。

趣味も遊び場所も食べ物も、

自分の価値観に沿って選べてしまいます。

 

つまりは、「自分自身とたっぷり向き合えるようになっている」

とも言えるのではないかと思うのです。

「今はコレだよ」という、誰かに示された枠にとらわれる必要がない。

 

自由だからこそ抱えてしまう悩みや、

上下関係が薄れていったり、

古い風習が失われていったりという問題は確かにあるでしょうが、

危機だからこそあらためて見直されているとも言えます。

 

技術や情報をみんなが共有していく今の世の中。

そんな中で、お参りにお越しのみなさまに、

心しずかに「自分」に向き合ってもらえるような

場所にしていきたいと思っています。

 

90年代以後も「新三種の神器」といって、

いろんな三種の神器を流行させようとしたものの、

あまり浸透しなかったんですってね。

 

みなさんの今日が平穏無事でありますように。

 

石鎚神宮社務所より