朝、本殿の裏手あたりをなにげなく歩いていると、
いっぴきのイタチと目が合ったんです。
空気は冷たいものの、青空から日差しが届く晴天でした。
イタチはシッポが長く、
ダックスフントなんかよりずっと胴長のように見えました。
たぶん、つい何日か前も同じ場所で見かけたイタチでしょう。
こっちのことを気にしていたのかどうかわかりませんけど、
何やら忙しそうに、あっちへ行ったり、
こっちへ引き返してきたり。
プロパンガスのボンベによじ登ったかと思えば、
塀のギリギリから土手の下をのぞき込んでみたり。
イタチはイタチなりに忙しそうにしていました。
イタチがうろうろしている場所の隣は、雑木林。
葉がすっかり落ちた樹々に、
数羽の野鳥が。
こちらも忙しそうに、
木の皮をつついては別の枝に飛びうつり、
虫でも探しているのでしょうか。
しんしんと冷える夜が明けて、
空からの日差しが降ってくる中で、
動物たちの活発な姿を見てちょっと朝からいい気分でした。
石鎚神宮は、たこぎ山を背負っています。
高尾木山、地元の人は親しみをこめて「たこぎさん」と。
標高は270mで、そう高い山ではないかもしれません。
ちょっと下れば民家がひしめいているし、
街も大きな道路もすぐ近くです。
けれど、この山の茂みやこずえ、
土の中や葉の下には、無数のいきものが住んでいる。
イノシシもタヌキも通るし、
キジもサルも出るし、
夜にはフクロウの鳴き声がします。
カラスの団体も帰っていくし。
どこかで、「にんげんは宇宙の謎にばっかり目を向けているけど、
深海にだってまだまだ謎は多い」
という言葉を聞いたおぼえがあります。
けど、宇宙より深海よりさらに手前の、
270mの裏山のことだって、
知らないことだらけなのかもしれません。
みなさんの今日が平穏無事でありますように。
石鎚神宮社務所より
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